【解説前編】不動智神妙録(ふどうちしんみょうろく)とは?沢庵が柳生宗矩に伝えた剣禅一致の極地

不動智神妙録

 

どうも、こんにちは、合気道合心館の小川です。

 

 

今回は沢庵和尚の不動智神妙録(ふどうちしんみょうろく)をご紹介したいと思います。

 

 

この本は親交のあった伝説の剣豪 柳生宗矩に、沢庵が剣禅一致の極地について、教えた本だと言われています。

 

 

(漫画のバガボンドにも宮本武蔵を導く役として沢庵は登場しますが、それは創作です。実際に交流のあった剣豪は柳生宗矩です。)

 

 

私は普段は合気道を稽古しながら、坐禅の真似事みたいなことをしていますが、「剣禅一致」なんてのはサッパリワヤです。

 

 

昔、読んだ時よりは、ちょっとは分かればいいなと思いながら、今回読み直してみました。

 

 

 

 

不動智神妙録(ふどうちしんみょうろく)とは?

 

不動智神妙録(ふどうちしんみょうろく)は、江戸時代初期の禅僧・沢庵宗彭が執筆した「剣法(兵法)と禅法の一致(剣禅一致)」についての書物である。

 

 

執筆時期は諸説あるが、内容から見て寛永年間(1624年から1645年)であろうと推測される。

 

 

別称を『不動智』、『剣術法語』、『神妙録』とも呼ばれ、原本は存在せず、宗矩に与えられた書も、手紙か本か詳しい形式は判明していない。

 

 

引用:Wikipedia

 

 

 

 

 


剣禅一致を説いた沢庵の「不動智神妙録(ふどうちしんみょうろく)」

不動智神妙録

 

「不動智神妙録」は沢庵和尚が武道の極意をもって禅の真髄を示した書です。

 

 

柳生宗矩に宛てた手紙をまとめた言われている。

 

※諸説あり

 

 

内容を見てみると、何となく合気道の稽古をする中で、活かせそうな事がたくさんありました。

 

 

その中からいくつか紹介します。

 

 

個人的見解も含まれていますので、他の方は違う解釈をされるかもしれません。

 

 

気になる方はぜひ原本を読んでみて、ご自身で沢庵さんの言葉を咀嚼してみてください。

 

 

 

 

 

 

①迷いを捨て、心を止めるな。

心

 

一切の迷いは捨て、相手の動きや、太刀にとらわれない事。

 

 

自分が相手をどうしてやろうかと邪心を出すと、相手に動きを読まれる。

 

 

迷いをしてて、無心で自然体で動く事が大切。

 

 

本の題名に入っている「不動智」とは、全く動かないという事ではなく、心は自由に動かし、相手にとらわれないという事です。

 

 

「不動智」は名前とは逆に、「自由自在の境地」という事です。

 

 

 

合気道の型稽古の反復の中でも、そのような境地を目指したいものです。

 

 

 

②「初心」に戻る。

初心

 

稽古は四季のようにめぐると書かれています。

 

 

春夏秋冬が過ぎた後には、また春が来ます。

 

 

初心を忘れないというのではなく、稽古をし続ければ、また「初心」に戻るという事です。

 

 

合気道でいうと、技を習う前は、何も考えていません。

 

 

技や相手に対してのとらわれはありません。

 

 

しかし、いざ稽古を始まると、覚える事がたくさんで、頭の中がいっぱいになってしまいます。

 

 

しばらく稽古を続けると、自然に動きが身について、考える事が少なくなってきます。

 

 

そして、最後には何も考えなくても、自然に技が出てくる状態にいたるのではないでしょうか?

 

 

その段階で一巡して、また「初心」に戻ったという事なのだと思います。

 

 

※また、初心に戻るためには、何も考えなくても技が自然に出る程、反復練習が必要である事を忘れてはいけないと思います。

 

 

 

 

③相手の攻撃に合わせる。

心

 

 これは沢庵は「間髪をいれない」と表現していますが、

 

 

相手の太刀と自分の動きの間に 髪の毛1本すら入らないようにという事です。

 

 

同じような内容ですが、「石火の機」とも表現しています。

 

 

つまり、火打ち石をカチンすれば、すぐに火花が散ります。

 

 

私は合気道の稽古の中では、これを「相手の攻撃に合わせて動く」と理解して稽古しています。

 

 

相手の攻撃を捌く時、早すぎず、遅すぎず、相手に合わせて動くという事が大切だと思っています。

 

 

  

④頭でっかちになっていないか。

心

 

もし、禅により剣術の「道理」を知ったとしても、身体を使って、剣術の稽古をしなければ意味がない。

 

 

「道理」を知っても、剣術の技がなければ、「道理」は生かせない。

 

 

これを沢庵は「理の修行、事(わざ)の修行」と言っています。

 

 

この二つは車の両輪のようなものだと思います。

 

 

合気道は型稽古ですから、頭でっかちになりがちです。

 

 

「道理」を知り、それを稽古の中で体現できるようになるまで満足する事なく、稽古をしていければと思います。

 

 

 

 

不動智神妙録の作者 沢庵宗彭(たくあん そうほう)とは?

沢庵宗彭
沢庵宗彭

 

 

沢庵和尚(1573年~1646年)は、正式には沢庵 宗彭(たくあん そうほう)と言います。

 

 

安土桃山時代から江戸時代前期にかけてので大徳寺の住職も務めた臨済宗の偉いお坊さんです。

 

 

大根の漬物「たくあん」の考案者としても有名です。

※これは諸説あるそうです。

 

 

ちなみに新選組の土方歳三はたくあんが大好物で山盛り食べていたそうです。

 

 

沢庵は、剣豪の柳生宗矩と若い頃より交流があり、教えを求める柳生に剣禅一致の境地を説いたそうです。

 

 

この境地を記した『不動智神妙録(ふどうちしんみょうろく)』は、禅の教えを持って、武道の極意を説いた最初の書物であり、武術から武道へ昇華に大きく貢献していました。

 

 

 

 

 

武術から武道へ昇華(※クリック拡大)
武術から武道へ昇華(※クリック拡大)

【こぼれ話①】たくあん漬けは沢庵和尚が作ったの?

 

みんな大好き黄色い大根の漬物「たくあん」は沢庵が作ったと言われています。

 

(これには諸説あります。沢庵が作る前から存在して、広めたのが

沢庵だとか・・・)

 

 

いずれにせよ、たくあんの名前は沢庵からとられており、松居一代と松居棒とちょうど同じだけ、切っても切れない関係です。

 

 

「たくあんと沢庵」について、このような逸話が残っています。

 

 

柳生宗矩 (やぎゅうむねのり)の推薦によって、沢庵は相談役として江戸に行くことになります。

 

 

そこで時に将軍である徳川家光からの信頼を得た沢庵は東海寺の住職に就任することになり、家光とも交流を深めていきます。

 

 

 

そんなある日・・・・

 

 

 

 

 

徳川家光
徳川家光
「なあ、沢庵よ・・・最近何を食べても美味くないねん。何かもっと美味いもん食べさせてくれへんか?」

沢庵宗彭
沢庵宗彭
なるほど。上様、お任せください。では、明日の午前10時頃に東海寺(沢庵の寺)にお越しください。準備をしておきます。

茶室

 

翌日、家光は沢庵に言われた通り、10時にどんな美味い料理を食べれるのかとウキウキしながら東海寺へ行きます。

 

 

沢庵は家光をいったん東海寺の茶室へ通し、引き下がります。

 

 

しかし、待てど暮らせど沢庵は戻ってきません。

 

 

 

 

 

 

徳川家光
徳川家光
(イライラ)沢庵はいったい、わしを待たせて何をしてんねん!どんどん腹が減ってきたわ・・・。

 

 

11時・・・沢庵はまだ現れない。

 

 

12時・・・沢庵はまだ現れない。

 

 

13時・・・沢庵はまだ現れない。

 

 

14時・・・沢庵はまだ現れない。

 

 

 

 

 

 

そして、家光はイライラを通りこして、空腹で目が回りそうになりながら沢庵を待ち続けます。

 

 

時間は15時を回ろうしたその時、ふと沢庵は現れます。

 

 

 

沢庵宗彭
沢庵宗彭
待たせたな・・・

徳川家光
徳川家光
沢庵!!!どんだけ待たすねん。腹減りすぎて死んでまうわ!!!

沢庵宗彭
沢庵宗彭
上様、そう怒らず、これより沢庵お手製の料理を、どうぞ堪能くだされ。

 

 

そして、沢庵は家光に御膳を差し出しました。

 

 

御膳の上には、何やら黄色いものが二切れ皿に乗り、あとはご飯、他には何もありません。

 

 

 

たくあん
徳川家光
徳川家光
なんやこれは、えらい質素な飯やな、、、、でもしゃーない、今はめちゃくちゃ腹減ってるさかい。背に腹は代えられんわ。 

 

 

 

そう言うと家光はものすごい勢いで、ご飯と黄色い謎のものを食べだしました。

 

 

 

 

沢庵宗彭
沢庵宗彭
どうですか?お味は?

徳川家光
徳川家光
(ガツガツ)う!うまい・・・。ご飯がススム。おかわり!

 

 

しばらくして、家光はようやく腹が一杯になったとみえて、やっと箸を置きました。

 

 

そして、沢庵にたずねました。

 

 

 

徳川家光
徳川家光
沢庵、この黄色い謎の漬物はなんや。ものすっごい美味いねんけど。

沢庵宗彭
沢庵宗彭
それは大根の糠(ぬか)づけでございます。

 

 

家光はすっかり感心してしまいました。

 

 

徳川家光
徳川家光
なるほど、ほんだらこの黄色い謎の漬物は「たくあん漬け」と名付ける事にするわ。

沢庵宗彭
沢庵宗彭
ありがとうございます。それと上様、もし美味しいものを食べたいのであれば、腹を空かせればいいのです。腹が減るだけで、すべてものは美味しく感じるのです。

 

 

と、沢庵はさらりとスマートに家光を戒めたのでした。

 

 

 

清貧な生活を好んだ沢庵らしいエピソードです。

 

 

 

参照:宗鑑寺

 

 

 

 

 

・・・・と、こぼれ話なのに、長々書いているうちに、Jimdoブログの上限が来てしまいそうです。

 

 

Jimdoブログは目次も入れれないし、使い勝手が悪いです(ぐちぐち)。

 

 

 

というわけで後編に続きます。

 

 

 ↓↓下の画像をクリックして、後編もお読みくださいね。

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コメント: 2
  • #1

    おおしまただし (月曜日, 07 8月 2023 21:37)

    丹精の本より、不動値神妙録に、理解を示す。己を省みる欲に煩い混乱下。それは、人しての、原点があると、肝に銘ずる。又、写経にも、頭でっかつにならない工夫を、心がけたいよう。

  • #2

    MeAndYou (日曜日, 21 4月 2024 14:26)

    興味深い学びの機会を作っていただきありがとうございました。禅と合気道、そして人生岐路に立たされた時にも応用できそうな対処法が幾つか紹介されており、大変勉強になりました。とんちの効いた沢庵さんの家光公へのお言葉、さすがです。このように生きる上で役立つ賢智を今後とも学び習得していけると豊かな人生をどんな時も歩んでいけるような勇気を得ました。