合心館京都大阪の「Mission・Vision・Value」の解説

 


小川です。


久しぶりのブログです。


今回、お盆休み中に道場の壁に以下のような「運営理念・道場ビジョン・6つの道場心得」を掲示させていただきました。


私は合気道場と会員さんとは、通常のサービス業(サービスする側とされる側)の関係ではなく、一緒に理想とする道場(ビジョン)を作り上げるパートナーだと考えております。


なので、会員さんにはパートナーとして、私の考えに共感共鳴をいただきたいと考えています。


(・・・とはいえ、このようなものを掲示すると、めんどくさく思われる方も多いと思います。

急にとはいきませんので、少しづつでも共感していっていただければと思います。)



人が増えてくると考え方もひとそれぞれです。


多様性は認めるのですが、考え方が全然違うと、皆が楽しく充実した時間を過ごすことは難しいと思います。


皆が気持ちよく楽しい時間を過ごすために、やはりこのタイミングで道場の芯となる考え方を提示、共有することが必要だという結論になりました。



 

おがわ
おがわ
合気道は二人一組で稽古を行います。なので双方にとって有意義な時間と稽古にしないといけません。なので、会員が共有する考え方がどうしても必要であると思いました。
おそらく私の考え方に抵抗がある人もいるのではと、半年くらい悩みましたが、このような道場の芯となる考え方を提示することが、今まさに必要な事なんだと思います。
どうしても共感いただけない、価値観が合わない方が出てくるのも覚悟の上です。
合気道場はここだけではありません。

合心館京都大阪の「Mission・Vision・Value」

合心館京都 大阪 MVV.pdf
PDFファイル 338.5 KB

1)運営理念 Mission

「合気道を通じて一人でも多くの人の人生を豊かにする」

 

これは私が合気道場を運営する目的であり、決してブレることのない信念になります。


私は過去に自分自身の心の状態(私心/慢心)であったり、自分を取り巻く環境の変化により、改良改善をしていくうちに、自分自身の道場運営がどこに向かって進んでいるのか分からなくなるとこがありました。


なんとなく、色々な本を読んで、真似事で作った運営理念ですが、年々自分の心に深く深く刻み込まれてきており、今では大変な財産になったと思っています。


道場創設以来、13年間で道場を投げだしそうになった事が何度かありました。


その時に自分が作り出したはずの理念に逆に支えられるという経験もすることができました。

 

(私にはこの理念が真っ暗闇の中、光り輝き、行き先を示してくれる灯台のように感じました。そして、投げ出すわけにはいかないという、一種の使命感のようなものも感じました。)

 


今では日々、本当にこの理念に向かって進んでいるのか?何度も何度も自分に言い聞かし、奮起し、できていなければ反省するということを習慣にしています。

 

 

(正しくは・・・するように努力しています。できていない時も・・・)


今では、この理念を灯台として進んでいけば、大きく道を過つことはなく、大局的には必ず良い方向に向かう事ができるという一種の安心感も感じています。


 

 

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おがわ
おがわ
私が若い頃、病気で随分と苦労をした際に「生き方」という本を読んでから、私淑して勉強し続けている稲盛和夫さんはご自身の経営者人生を『理念を高め続ける日々』と表現しています。

2)道場ビジョン Vision

「老若男女一人でも多くの人の人生を豊かにするサードプレイスとしての合気道場」

 

今回、私が実現したい道場像を「道場ビジョン」として掲げさせていただきます。


私は
現在社会における町道場の存在意義はサードプレイス(第三の場所)だと、よく言っていますので、このビジョンもかなり道場内で浸透していると思います。


サードプレイスというのはアメリカ合衆国の社会学者 レイ・オルデンバーグさんが提唱した家庭でも職場でもない第三の場所のことです。


サードプレイスでは家庭や職場での役割から解放され、気楽な一個人として、くつろげる場所という事になります。


日々のストレスから一時的にでも逃れ、孤独を癒す場所としてこの、サードプレイスが現代人にとって必要な場所ではないかと私は思います。


元々、このサードプレイスとはスターバックスの考え方、つまり店舗はただコーヒーを提供する場所ではなく、家でも職場でもないリラックスできる第三の場所と定義づけたことから影響を受けております。

 

 

影響というか

 

 

当時、windowsしか使ったことがないのに、スタバで全然使いこなせていないMacをひらいて仕事をしたふりをすることがマイブームだった私が、スタバのこの考え方を知り


めちゃんこカックイイー!と思った私がイキリ倒して道場=サードプレイスだと言い出したのが、道場ビジョンのスタートです。


しかし長年にわたり、合気道に限らず、色々な町道場というものを、よくよく観察してみると、私の言い出したことは、あながち間違っていないと思いました。


結構、町道場って武道を学ぶこと以上に人々の居場所になっていることが多いのです。


実際、合心館京都・大阪でも会員さんの心の中の半分は合気道をしに、半分は居心地の良い道場に来て、いつもの仲間に会いに来ている人が多いと思います。


合心館京都・大阪では稽古の前後や間の休憩時間に皆さん楽しそうに会話をされています。


私はこれを見て、この道場が「サードプレイス」として機能しているのだなと、嬉しく思っています。

 

 

 

おがわ
おがわ
同時に現在の悩み、課題はこれ以上広めていくためには多少の組織化が必要であると感じている点です。 サードプレイスとしての機能を破壊しない範囲で、私以外に稽古内だけでも管理者的な人を設ける必要もあります。 現在の自由闊達な場を破壊せずに、問題が起きないように、広げるにはどうしたら良いか考えています。

サードプレイス(第三の場所)8つの特徴.pdf
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3)6つの道場心得 6 Dojo Core Values

 

道場も人が増えてくると色々なバックボーンをもつ、色々な考えの方が入会されています。

 


(京都は海外の方もよく入会されます。)


合心館京都・大阪の自由を重んじる風土はなるべく残したいのですが、


皆が気持ちよく、楽しく稽古するために、これだけは共通の価値観としてシェアしたい事を道場心得としてまとめました。


この6つは会員さん全員の共通の価値観として根付かせたいので、何卒ご協力をお願いします。


①~⑥は重要度の高い順に並べています。

 

 

 

① 受けと取り双方の努力により、安全第一と質の高い稽古を両立する。

 

まずは何より安全第一(怪我をしない、させない事)が最優先です。


しかし、取りばかりが怪我をさせないように気を付けて、手加減をしすぎて、まったく受けに負荷を掛けなければ、受けの受身の力量がつかず、逆に怪我のリスクを減らすことができないかもしれません。

 


(ただ、黒帯が受身が未熟な初心者を怪我させることはあってはならない。)


なので、第一の心得として「受けと取り双方の努力により、安全第一と質の高い稽古を両立する」という表現にさせていただきました。


怪我をさせずに相手の受身を上達させる力加減、稽古相手の受身の力量を見定めるのも、黒帯の責任と認識してもらえればと思います。


また、『受身(うけみ)」は稽古で怪我をしないためにする全ての事と考える』という認識もお願いします。


たとえば・・・

 

 

 ・人が多い稽古の時は、ぶつからない場所を探して、稽古をする。

 

 ・周りから人が飛んでこないか、壁にぶつからないか、視野を広く稽古する。

 

 ・体調が悪いとき、集中力がどうしてもでないとき、は休憩する。

 

 ・怪我をしている時は、相手にきちんと伝えて、無理なく稽古をする。

 

 ・取りの技がきつい時や、受け身が怖い時は遠慮なく相手に伝える。

 


このようなことも合心館京都・大阪では受身です。


道場内に不安を見える化する仕組みもに導入しています。


自分自身でも、怪我をしない努力を最大限よろしくお願いします。





② 基本を大切に飽くなき求道心を持続する。

 

合気道は地味な型稽古を繰り返し、より深く探求をしていくことになります。


一通り技を覚えた後の地味な稽古の繰り返しというのは、なかなか根気と忍耐力のいることで、探求心がある人ほど途中で目新しいことに目移りしてしまいます。


もちろん、そのような時期があるのもいい事かと思います。

 


(私の二段位の頃は色々やってみました。)


しかし、やはり色々なことを探求すると同時に合気道の土台である基礎も日々しっかりと見直してもらえたらと思います。


道場心得②「基本を大切に飽くなき求道心を持続する。」


合気道の基礎に根差した探求心=求道心と表現しました。



私は合気道家の成長を木のようにイメージしています。


上にどんどん伸びていくような大木になりたいと思えば、しっかりと大地に根を張り巡らせる必要があると思います。

 

 

それと同じように、合気道をさらに成長させ、上達を目指すのであれば、やはり根気強く基礎稽古に取り組むことは不可欠かなと考えています。

 

 

急がず焦らず、地道に地に足がついた稽古を、積小為大(せきしょういだい)を信じてもらえたらと思います。


 

 


③ 楽しく稽古と合気道の上達の良い循環を回す。

 

「楽しく自由に稽古」とは、道場をオープンしたばかりの頃、私がよく言っていた言葉です。



しかし、楽しいと自由だけが先行してしまう事により、色々な問題点も出てくることもありました。

 

皆が自由で自分が楽しいと思うことばかりしていたら、片方が楽しくても、片方が楽しくないということもあるわけです(ある種、それは自分勝手な稽古と言えるかもしれません。)。


全体の稽古を阻害したり、後輩に悪い影響をあたえるかもしれません。



 

おがわ
おがわ
社会でもそうですよね。 皆が自分が楽しい好きなことばかりしていたら、社会は成り立ちません。 なので、そこに道徳があり、規範があり、さらにルールや法律があるわけです。

 

 


合心館京都・大阪はサードプレイス(第三の場所)を目指していますが、まずは大前提として合気道場です。

 

入会してくる人は、昇段を目指しバリバリやる人もいれば、週一回運動不足解消に通う人もいます。

 


目指す目標はそれぞれ違いますが、しかし、ほとんどの人は(自分のペースで)合気道が上手くなりたいと思っています。


なので、今では
「楽しく自由に稽古」ではなく、「楽しく稽古と合気道の上達の良い循環を回す。」と表現をしています。



つまり・・・

 

合気道が楽しい→合気道を練習する→合気道が上手くなる

 

 

という良い循環を回したいということです。


しかし、このサイクルの原動力(エンジン)は楽しいということですから、やはり会員さんには合気道を楽しく稽古してほしいと願っています。

 

 

 

 

 

④ 黒帯は白帯のお手本になるように心掛ける。

 

規定の稽古日数と合気道の技術があれば、昇段審査を受ける事ができ、黒帯を着用することができます。


しかし、合気道の稽古を積み重ねた努力と正当な実力だけが黒帯の証なのでしょうか?

 


私は黒帯をしめるということは、同時に「黒帯の責任」を背負うということ考えても良いと思います。


(しかも、その黒帯は財団法人合気会からいただいているわけです。そのように考えると合気道、合気会へ貢献するという責任感も出てくるのではないでしょうか?)


もちろん、それぞれ皆さん忙しい日々を過ごしておられるので、色々なことを犠牲にしてまで背負うような責任ではありません。


しかし意識として黒帯の「責任感」というものは、どこかで持っていてほしいと思います。

 

 

 

話は変わりますが・・・


 

横綱に品格が必要かという問題をときどき耳にします。


以下は横綱の品格に関して、取り扱った記事からの引用です。

 

メディアもファンも力士を評するのに「品格」という言葉を使っているが、相撲ファンではない人からすると非常に疑問なことがあるのではないか。つまり「品格」とは何か、ということだ。

 

そこで調べてみると、横綱審議委員会による横綱推薦の第1項に「横綱に推薦する力士は、品格、力量が抜群であること」と記されていることを確認した。横綱になるには、「品格」が必要だということである。

(中略) 

 

相撲協会では「品格」を以下のように定めている。

 

相撲に精進する気迫

地位に対する責任感

社会に対する責任感

常識ある生活態度

その他横綱として求められる事項

引用; 政経電論 「なぜ横綱に「品格」が必要か」

 

 

横綱になるほどの方の稽古量・求道心と私たちを比べるのもおこがましいですが、やはり黒帯をしめるということが合気道の力量がある以上にも求められるもの、責任があるのではないかと考えるべきと、私は思います。

 

 

この事について、まだ、私の中できちんと考えがまとまっていませんが、やはり最低限、合気道の技、道場での立ち振る舞いなどは黒帯は白帯のお手本となるように心掛けるという意識を持ってもらえたらと思います。

 

 

 

 

⑤ 先人・道場・稽古相手への感謝の気持ちを忘れない。

京都御所南道場の正面
京都御所南道場の正面

 

京都御所南道場の正面には「植芝盛平開祖・植芝吉祥丸二代目道主・植芝守央道主・谷本敏夫館長」の写真を飾っています。


これらの先人達がいるおかげで、今の合気道があり、我々が日々合気道の稽古を続けることができるわけです。

 

 

やはり、感謝の気持ちを持ち毎回の稽古を行いたいものです。

 

 

また、稽古をする道場、稽古相手もいなければ、私たちは合気道を稽古する事でできません。


ですから、会員さんには道場や稽古相手にも感謝の気持ちを持ち稽古をしてもらいたいと考えています。


しかし、感謝の気持ちというものは、放っておくと「当たり前」になり薄れていくものだと思います。

 

 

ですから、合心館京都大阪では道場へ入る際と稽古前に先人達の写真に坐礼を習慣にしています。


そうすることにより、先人達への感謝の気持ちを忘れないように心掛けています。

 

 

(宗教上の理由で礼をできない方もおられるので、合心館京都の前の神棚には神様は入れていません。正面への礼は先人達へ感謝の気持ちを表していると説明しています。


稽古相手への感謝の気持ちを持つことで、相手への接し方、稽古の仕方なども自ずと礼節を持った丁寧のものになるのではないでしょうか?

 

 

また、私は道場掃除を頻繁に行っていますが、これは自分自身が少しでも謙虚さを忘れないように、下坐行(げざぎょう)を行うという意味もありますし、同時に道場への感謝の気持ちを忘れないように行っているという意味も大きいです。

 

 

人間、感謝の気持ちというものは、放っておくとは当たり前になってしまうので、意識をして奮い起こす努力が必要なのではないかと思います。

 

 

 

 

⑥ 掃除・礼儀作法・身だしなみ(※)を整える事も稽古の一つと考える。

※道着を綺麗に着る・爪を短く切る・髪をくくる・アクセサリー類を外す。

 

これは大人から子供まで皆で意識をして取り組んでもらえたらと思います。


特に掃除は稽古に来たら、どこかを綺麗にして帰るようにお願いします。


身だしなみに関しては、安全面も考慮してこれらを意識してください。

(道着を綺麗に着る・爪を短く切る・髪をくくる・アクセサリー類を外す。)

 

 

礼儀作法に関しては、子供向けに作成したものを京都御所南道場の更衣室に貼りてけていますので、大人の方も率先垂範して、子供への指導のご協力をお願いします。



合心館京都 礼儀作法.pdf
PDFファイル 553.9 KB

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