茶の本 第五章「芸術鑑賞」を分かりやすく要約 ~極意は芸術と一体となること~

第一章「人情の碗」

 

どーも、おがわです。

 

 

明治初期に西洋諸国に日本を含む東洋の思想文化のすばらしさを知らしめるために、

 

 

岡倉天心が書いた「茶の本」

 

 

 

今回は第五章「芸術鑑賞」について、まとめていきますね。

 

 

この章は天心が考える「芸術鑑賞」の極意について書かれています。

 

 

私は合気道は20年以上していますが、なんとなく合気道にも通じる教えだと思います。

 

 

 

一芸は万芸に通じると言いますが、他の分野でも極意と言われている内容なのではないでしょうか?  

 

 

ではでは・・・・ 

 

 

 

おがわ
おがわ
合気道では敵と和合しろという教えがあります。むちゃムズイですが💦

茶の本 第五章「芸術鑑賞」

茶道

 

この章の冒頭で、天心はこのように問いかけます。

 

 

岡倉天心
岡倉天心
諸君は「琴ならし」という道教徒の物語を聞いたことがありますか。

 

 

天心曰く

 

 

この「琴ならし」という物語が、芸術鑑賞の極意を説明しているのだそうです。

 

 

 

では、以下に「琴ならし」の物語を簡単にご紹介しますね。

 

 

 

 

「琴ならし」のストーリー紹介

琴ならし

 

天心はこの章のメインテーマである「芸術」鑑賞の極意を説明するために、道教の「琴ならし」という物語を詳しく説明しています。

 

 

「琴ならし」のストーリーをイラストでご紹介しますね。

 

 

 

①むかしむかし、真の森の王と思われる巨大な大木がありました。

①むかしむかし、真の森の王と思われる巨大な大木がありました。

 

【原文】

 

 

大昔、竜門の峡谷に、これぞ真の森の王と思われる古桐があった。

 

 

頭はもたげて星と語り、根は深く地中におろし て、その青銅色のとぐろ巻きは、地下に眠る銀竜のそれとからまってい た。

 

 

 

②偉大な妖術者がこの大木を切って不思議な琴を作りました。

②偉大な妖術者がこの大木を切って不思議な琴を作りました。

 

【原文】

 

 

ところが、ある偉大な妖術者がこの木を切って不思議な琴をこしらえた。

 

 

そしてその頑固な精を和らげるには、ただ楽聖の手にまつよりほかはなかった。

 

  

 

③長年の間、だれも不思議な琴をうまくひける人はいませんでした。

③長年の間、だれも不思議な琴をうまくひける人はいませんでした。

 

【原文】

 

 

長い間その楽器は皇帝に秘蔵せられていたが、その弦から妙なる音をひき出そうと名手がかわるがわるかわるがわる努力してもそのかいは全くなかった。

 

 

 

彼らのあらん限りの努力に答えるものはただ軽侮の 音、彼らのよろこんで歌おうとする歌とは不調和な琴の音ばかりであった。

 

 

 

④ついに伯牙(はくが)という琴の名手が現われ演奏をはじめました。

④ついに伯牙(はくが)という琴の名手が現われ演奏をはじめました。

 

【原文】

 

 

ついに伯牙という琴の名手が現われた。

 

 

御しがたい馬をしずめようとする人のごとく、彼はやさしく琴を撫し、静かに弦をたたいた。

 

 

 

  

⑤伯牙は四季をうたいました。

⑤伯牙は四季をうたいました。

 

【原文】

 

 

自然と四季を歌い、高山を歌い、流水を歌えば、その古桐の追憶はすべて呼び起こされた。

 

 

再び和らかい春風はその枝の間に戯れた。

 

 

峡谷をおどりながら下ってゆく若い奔流は、つぼみの花に向かって笑った。

 

 

たちまち聞こえるのは夢のごとき、数知れぬ夏の虫の声、雨のばらばらと和らかに落ちる音、悲しげな郭公の声。

 

 

聞け!虎うそぶいて、谷これにこたえている。

 

 

秋の曲を奏すれば、物さびしき夜に、剣のごとき鋭い月は、霜のおく草葉に輝いている。

 

 

 

冬の曲となれば、雪空に白鳥の群れ渦巻き、霰はぱらぱらと、嬉々として枝を打つ。

 

 

 

⑥伯牙は恋のうたいました。

⑥伯牙は恋のうたいました。

 

【原文】

 

 

次に伯牙は調べを変えて恋を歌った。

 

 

森は深く思案 にくれている熱烈な恋人のようにゆらいだ。

 

 

空にはつんとした乙女のような冴えた美しい雲が飛んだ。

 

 

しかし失望のような黒い長い影を地上にひいて過ぎて行った。 

 

 

 

⑦伯牙は戦をうたいました。

⑦伯牙は戦をうたいました。

 

【原文】

 

 

さらに調べを変えて戦いを歌い、剣戟の響きや駒の蹄の音を歌った。

 

 

すると、琴 中に竜門の暴風雨起こり、竜は電光に乗じ、轟々たる雪崩は山々に鳴り渡った。

 

 

 

 

⑧琴と一体となる

 

【原文】

 

 

帝王は狂喜して、伯牙に彼の成功の秘訣の存するところを尋ねた。

 

 

彼は答えて言った、「陛下、他の人々は自己の事ばかり歌ったから失敗したのであります。

 

 

 

私は琴にその楽想を選ぶこと を任せて、琴が伯牙か伯牙が琴か、ほんとうに自分にもわかりませんでした。」と。

 

 

 

 

おがわ
おがわ
伯牙は琴と一体になっているということですね。仏教でいうところの物我一体の境地です。達人はどの分野でも同じような事を言っていたりします。

芸術鑑賞の極意とは?

芸術鑑賞の極意とは?

 

つまり、天心がいう芸術鑑賞の極意というのは

 

 

鑑賞者は己の我欲を捨て(虚の状態)になり、芸術作品と一体となるべし!!

 

 

ということなのです。

 

 

 

言うはやすし、行うはきよしです。

 

 

これを「琴ならし」の物語で例えると、このようになります。

 

 

 

芸術鑑賞の極意
「芸術鑑賞の極意」※クリックで拡大

 

 

芸術鑑賞とはそこまでいかないと本物ではないのですね。

 

 

天心先生!

 

 

 

 

岡倉天心
岡倉天心
われわれは傑作によって存するごとく、傑作はわれわれによって存する。

 

 

続いて、天心はこのように書いています。

 

 

 

 

 

美術鑑賞に必要な同情ある心の交通は、互譲の精神によらなければならない。

 

 

美術家は通信を伝える道を心得ていなければならないように、観覧者は通信を受けるに適当な態度を養わなければならない。

 

 

引用:茶の本

 

 

美術鑑賞に必要な同情ある心の交通
美術鑑賞に必要な同情ある心の交通(クリックで拡大)
おがわ
おがわ
私は20年以上、合気道という武道をしています。 合気道は前で先生がしたお手本を見て、真似をするという稽古をします。 見る事も稽古の一環として「見取り稽古」という言葉もあります。 天心がいう芸術鑑賞と同じような気持ちでお手本を見れたら良いなと思います。 私もできてないけど・・・

誤った「芸術鑑賞」へ憤り

 

 

この章の最後に、天心は現状の誤った「芸術鑑賞」への憤りを書き連ねています

 

 

 

 

岡倉天心
岡倉天心
実に遺憾にたえ ないことには、現今美術に対する表面的の熱狂は、真の感じに根拠をおいていない。

 

 

こんな芸術鑑賞者は最悪だと言っています。

 

 

【岡倉天心のこんな芸術鑑賞者は嫌だ】

 

①高雅ではなく高価なものを欲しがるヤツ

 

②美しいものではなく、流行品を欲しがるヤツ

 

③古いのは良いと「美術」と「考古学」を混同しているヤツ

 

④美術品ではなく、単に博物館みたく収集したいだけのヤツ

 

 

 

 

 

 

【岡倉天心のこんな芸術鑑賞者は嫌だ】

 

 

この章の最後はこの言葉で締めくくられています。

 

 

 

 

岡倉天心
岡倉天心
われわれは人生の美しい物を破壊することによって美術を破壊している。 ねがわくは、ある大妖術者が出現して、社会の幹から、天才の手に触れて始めて鳴り渡る弦をそなえた大琴を作らんこと を祈る。

 

 

このイラストは妖術者ではなく、マッドサイエンティストでしたね💦

 

 

良いフリー素材がなかったので、なんとなく・・・

 

 

 

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岡倉天心の「茶の本」を各章ごとにまとめています。

 

 

一生懸命、まとめました。

 

 

併せて読んでみてくださいね。

 

 

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