山岡鉄舟「井上さん勲章いりません事件」~金や名誉に執着しない鉄舟~

 

どーもおがわです。

 

では、「おれの師匠―山岡鉄舟先生正伝」より、井上さん勲章いりません事件をご紹介します。

 

 

山岡鉄舟は西郷隆盛に「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ人」と言わしめた達観した人物です。

 

おそらく、鉄舟にとっては勲章など意味のない事だったのでしょうか?

 

 

もしくは・・・

 

江戸城無血開城に大きな貢献に対して「勲三等」である事に不満があったのかもしれません。

 

 

鉄舟は負けず嫌いですからね・・・。

 

 

どちらでしょうか?

 

 

 

おれの師匠―山岡鉄舟先生正伝

 

おれの師匠―山岡鉄舟先生正伝とは・・・

 

山岡鉄舟の直弟子である「小倉鉄樹」が師の事を語った話を鉄樹の弟子である「石津寛がこれをまとめ、「牛山栄治」が決定本として世に出した鉄舟本です。

 

よく知られているかっこいい鉄舟像だけでなく、思わずクスリと笑ってしまう失敗談なども多く書かれており、人間味あふれる鉄舟を知る事ができます。

 

 

鉄舟ファンにとって垂涎の書とされています。 

 

 

 


②「井上さん勲章いりません事件」~金や名誉に執着しない鉄舟~

 

山岡鉄舟が10年の宮内省での勤めを退めた頃、勲章を渡したいから、出てくるようにというお呼びがありました。

 

 

しかし、鉄舟は出ていきませんでした。

 

 

二度も呼び出されたのに、鉄舟はそれを既読スルーしていたので、

 

わざわざ井上馨(いのうえかおる)が勲章(勲三等)を持って山岡邸を訪れました。

 

 

 

イメージ画像
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  おがわ
  おがわ
井上馨はこの時、国への貢献を認められ、明治政府より勲三等より上の「勲一等」をもらっていました。 勲一等の人がわざわざ勲三等を持ってきたわけです。

  井上馨
  井上馨
陛下(明治天皇)があなたの長年の勤労に報いるために、勲三等授けるとおっしゃられるので、本日は持ってきた。 ありがたくお受けになるのが良かろう。

  鉄舟
  鉄舟
恐れ入りました。

 

鉄舟は勲三等を受け取り、家族に見せに行きました。

 

そして、間もなく戻ってきました。

 

 

  鉄舟
  鉄舟
ただ今、妻子を集め、お勅使の旨を伝え、勲三等をを拝ませました。 皆、有難さに感涙しております

 

と意外に素直で丁重な鉄舟の対応に、いかにも井上馨は満足そうです。

 

 

  井上馨
  井上馨
ああ、そうですか。

 

しかし、

 

その直後、改まった声で、

 

 

  鉄舟
  鉄舟
さあ、井上さん、これはご返上するからお持ち帰り願いたい。

 

と言い放ちました。

 

それには井上馨もビックリ

 

 

 

  井上馨
  井上馨
これは天皇の命令で持ってきた勲章だ。ガキの使いじゃないし、持って帰れと言われて、誰が持って帰れるものか!!

 

と激高する井上馨に鉄舟は次々とまくしたてました。

 

 

  鉄舟
  鉄舟
全体、井上さん、あなたのかけている勲章はそりゃ何だ。いわずとも一等勲章だろう。おまえさんが勲一等で、 おれに勲三等を持ってくるのは少し間違ってるじゃないか。勅命とはいうものの、その実はおまえさん等が勝手に決めたことだ。 一体、おれから見れば、おまえさんなんかふんどしかつぎじゃねえか。褌かつぎのくせに、自分よりも下の勲章をおれのところへ 持って来るなんて、とんでもねぇ間違いだ。

  井上馨
  井上馨
ムカッ・・・・・・

  鉄舟
  鉄舟
維新の大業は、俺と西郷と二人でやったんだ。おまえさんなんか、その下っ端じゃねえか。下っ端のくせに、こんな真似をするなんて法はあるもんか。

  井上馨
  井上馨
それでも俺にはそれだけの手柄がある・・・(ボソッ)

  鉄舟
  鉄舟
それでは俺とお前さんの手柄を比べてみよう。お前さんはどんな手柄で勲一等になったんだい?

  井上馨
  井上馨
ムムム・・・俺は18歳の時に戦争に出て・・・国事に奔走したり・・・・あの戦争の時はここを切られたり・・・苦労したんだ・・・〇×△

  鉄舟
  鉄舟
一体勲章というものは志に酬ゆるものじゃなくて、手柄に酬ゆるのだ。今おまえさんの話した手柄は、 みんなおれと西郷とでやった仕事の後始末だ。つまりおれたちのやったお蔭で立てた手柄だろう。そんな手柄でおまえさんが勲一等なら、おれのとこへは菊花大綬章の三つ四つかためて 持って来なけりゃ釣り合いがとれまい。

  井上馨
  井上馨
チーン (意気消沈)

 

という感じで、井上馨はせっかく持ってきた勲章をとぼとぼと持ち帰るハメになりました。

 

 

このエピソードに関しては、少し井上馨がかわいそうな気がしなくもないです。

 

 

じつは・・・

 

 

この時、弟子の小倉鉄樹先生は押入れの中で、一連のやり取りを聞いていました。

 

押入れの中でって・・・ドラえもんかい・・・と言いたくなりますが・・・

 

 

後で他の弟子たちにこの事を話したらみんな痛快がったそうです。

 

 

 

 

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